未成年後見とは――親権を行う人がいなくなったとき、子を守るしくみ(民法838条1号)

18歳未満の子(民法4条)は、ひとりで契約などの法律行為をすることが原則としてできず、親権者が子を育て、財産を管理し、子に代わって手続きをします。その親権者がいなくなったときに、親権者に代わって子を守るのが未成年後見人です。

民法は、「未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき」に後見が開始すると定めています(民法838条1号)。

場面親権・後見はどうなるか
婚姻中の父母の一方が亡くなった残された親が単独で親権を行います(民法824条の2第1項ただし書)。未成年後見は開始しません。
ひとりで親権を行っていた親が亡くなった親権を行う者がいなくなるため、未成年後見が開始します。配偶者と死別した方、離婚して単独で親権者になった方、未婚で子を育てている方が亡くなった場合がこれに当たります。
父母がともに亡くなった同じく、未成年後見が開始します。

未成年後見人の役割

未成年後見人は、子の監護・教育などについて親権者と同じ権利義務を持ち(民法857条)、子の財産を管理し、財産に関する法律行為について子を代表します(民法859条1項)。子が相続した預貯金の管理、遺産分割協議への参加、進学にともなう契約なども、未成年後見人の仕事です。

[成年後見とは別の制度です]
「後見」という言葉は、認知症などで判断能力が不十分になった方のための成年後見でも使われますが、未成年後見は親権者がいない未成年の子のための制度で、開始の原因も、終わる時期も異なります。成年後見については成年後見制度の記事をご覧ください。

遺言で指定できるのは誰か――「最後に親権を行う者」(民法839条)

未成年後見人を誰にするかは、家庭裁判所が決めるのが基本ですが、民法は、親が遺言であらかじめ決めておく方法を用意しています。

条文内容
民法839条1項未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
民法839条2項親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方が、未成年後見人の指定をすることができる。

ポイント① 指定は「遺言」でしかできません

条文が「遺言で」と定めているため、エンディングノートへの記載や、口頭・手紙での依頼では、未成年後見人の指定にはなりません。自筆証書遺言でも公正証書遺言でも指定はできますが、いずれも法律の定める方式を守る必要があります(遺言書の種類の記事)。

ポイント② 指定できるのは「最後に」親権を行う人です

ご夫婦がそろっている場合、どちらかが亡くなっても、残された親が親権を行います。このとき、先に亡くなった方の遺言による指定は、効力を生じません。亡くなった方は「最後に親権を行う者」ではないからです。

そのため、ご夫婦で備える場合は、それぞれが自分の遺言の中に、「自分が亡くなった時点で、ほかに親権を行う者がいないとき」に備えた指定を書いておくことになります。お二人が話し合って、同じ方を指定しておくのが一般的です。

ポイント③ 誰を指定できるか

未成年後見人には、祖父母、おじ・おば、成人したきょうだい、信頼できる知人などを指定できます。ただし、次の人は後見人になることができません(民法847条)。

  1. 未成年者指定する時点ではなく、後見が始まる時点で成年に達している必要があります。
  2. 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人過去に家庭裁判所から解任された人です。
  3. 破産者破産手続開始の決定を受けて、復権していない人です。
  4. 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族子ども本人と裁判で争った人と、その配偶者・直系血族です。
  5. 行方の知れない者連絡がつかない人です。

未成年後見人は1人に限られません。民法は、未成年後見人が数人ある場合の権限の行使について定めを置いており(民法857条の2)、家庭裁判所が未成年後見人を選任する場面では、法人が未成年後見人になることも想定されています(民法840条3項)。複数の方を指定した場合は、原則として共同して権限を行使することになります(民法857条の2第1項)。

離婚している場合の注意――もう一方の親との関係と、2026年4月施行の改正

ひとり親の方からもっとも多くいただくのが、「自分が亡くなったら、別れた相手に親権が移るのですか」というご質問です。

単独親権者が亡くなった場合

離婚の際に父母の一方が親権者と定められ、その方が亡くなった場合、もう一方の親の親権が自動的に復活するわけではなく、未成年後見が開始すると解されています。したがって、単独で親権を行っている方は、「最後に親権を行う者」として、遺言で未成年後見人を指定することができます。

一方で、民法は、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができると定めています(民法819条6項)。親権者が亡くなったあと、もう一方の親が自分への親権者変更を家庭裁判所に申し立てることがあり、家庭裁判所が子の利益の観点から認めることもあります。

遺言で指定しても、「もう一方の親は親権者になれない」と決まるわけではありません

遺言による未成年後見人の指定は、親としての意思を示す大切な手段ですが、もう一方の親からの親権者変更の申立てを封じる効力まではありません。申立てがあれば、家庭裁判所が、これまでの養育の状況、子ども本人の意向、指定された方ともう一方の親それぞれの事情などを踏まえて判断します。結論は事案によって異なりますので、心配な事情がある場合は、遺言を作る段階で弁護士にご相談ください。

2026年4月1日に施行された改正――離婚後も父母の双方が親権者になれる

父母の離婚後の子の養育に関する民法の改正(令和6年法律第33号)が、2026年4月1日に施行されました。離婚の際に、父母の双方を親権者と定めることも、一方を親権者と定めることもできるようになっています(民法819条1項・2項)。

離婚後の親権の形一方が亡くなったとき
父母の双方が親権者残された親が単独で親権を行います(民法824条の2第1項ただし書)。亡くなった方は「最後に親権を行う者」に当たらないため、その方の遺言による指定は、効力を生じないと考えられます。
父母の一方が親権者親権者が亡くなると未成年後見が開始します。親権者であった方は、遺言で未成年後見人を指定できます。もう一方の親からの親権者変更の申立てがありうる点は、上で述べたとおりです。

施行前に離婚して一方が親権者となっている場合、施行によって自動的に双方が親権者になるわけではありません。親権者を変更するには、家庭裁判所の手続きが必要です(民法819条6項)。

結婚していない父母の子の場合

父が認知した子の親権は母が行い、父母の協議で父母の双方または父を親権者と定めることもできます(民法819条4項)。母だけが親権者である場合に母が亡くなったときも、未成年後見が開始し、母は遺言で未成年後見人を指定しておくことができます。認知と相続の関係は、婚外子・認知された子の相続権の記事をご覧ください。

指定がないとどうなるか――家庭裁判所による未成年後見人の選任(民法840条)

遺言による指定がないまま親権者がいなくなった場合は、家庭裁判所が、請求によって未成年後見人を選任します(民法840条1項)。

項目内容
申立てができる人未成年者本人(意思能力があることが必要です)、未成年者の親族、その他の利害関係人
申立先未成年者の住所地の家庭裁判所(家事事件手続法176条)
費用収入印紙800円分(未成年者1人につき)と、連絡用の郵便切手(裁判所の案内による)
主な添付書類未成年者の戸籍謄本・住民票、候補者の戸籍謄本、親権者の死亡が記載された戸籍謄本など親権を行う者がないことを示す書面、未成年者の財産に関する資料
裁判所が考慮する事情未成年者の年齢、心身の状態、生活と財産の状況、候補者の職業・経歴、未成年者との利害関係の有無、未成年者の意見その他一切の事情(民法840条3項)

申立書には候補者を書くことができますが、候補者がそのまま選ばれるとは限りません。子が相続した財産が大きい場合や、親族の間で意見が分かれている場合などには、弁護士や司法書士などの専門職が選任されたり、未成年後見監督人(民法849条)が付けられたりすることがあります。

遺言による指定と、家庭裁判所による選任の違い

比較する点遺言による指定家庭裁判所による選任
誰が決めるか親(最後に親権を行う者)家庭裁判所
始まる時期遺言の効力が生じた時(遺言者が亡くなった時。民法985条1項)申立てをして、審判がされた後
必要な手続き未成年後見人が、就職の日から10日以内に市区町村へ届出(戸籍法81条)親族などによる家庭裁判所への申立て
親の意向直接反映されます親の生前の意向は事情のひとつとして考慮されるにとどまります

指定がない場合、誰かが申立てをして審判が出るまでの間、子の法定代理人がいない期間が生じます。その間は、子の名義の預貯金の手続きや、保険金の請求、遺産分割などを進めることが難しくなります。遺言による指定には、この空白をできるだけ短くする意味があります。

遺言の書き方――指定の文例、予備の指定、未成年後見監督人(民法848条)

文例

[未成年後見人を指定する条項の例]
第○条 遺言者は、未成年者である長女 ○○ ○○(平成○年○月○日生)の未成年後見人として、次の者を指定する。
 住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
 氏名 ○○ ○○(遺言者の姉)
 生年月日 昭和○年○月○日
第○条 前条の者が遺言者より先に死亡したとき、又は後見人となることができないときは、未成年後見人として次の者を指定する。
 (住所・氏名・生年月日)

文例はあくまで一例です。実際の文言は、ご家庭の事情に合わせて、公証人や弁護士・司法書士などの専門家と相談して決めてください。

書くときに押さえたい5つのこと

  1. 人を特定する住所・氏名・生年月日・続柄を書き、誰のことかが戸籍の窓口で分かるようにします。
  2. 子どもを特定するお子さまが複数いる場合は、それぞれについて氏名と生年月日を書きます。
  3. 予備の指定を置く指定した方が先に亡くなったり、病気などで引き受けられなくなったりする場合に備えます。祖父母を指定する場合は特に大切です。
  4. 必ず事前に本人の了解を得る未成年後見人は、いったん就職すると、正当な事由があり、かつ家庭裁判所の許可を得なければ辞任できません(民法844条)。黙って指定することは、相手にもお子さまにも負担になります。
  5. 理由と希望を付言事項に書くなぜその方に託すのか、どのように育ててほしいかを書き添えておくと、親族の理解を得やすく、家庭裁判所が判断する場面でも親の意思を示す資料になります(付言事項の記事)。

未成年後見監督人も遺言で指定できます

未成年後見人を指定することができる人は、遺言で未成年後見監督人を指定することもできます(民法848条)。後見監督人は、後見人の事務を監督し、後見人と子の利益が相反する行為について子を代表します(民法851条)。「育てるのは妹に、財産の見守りは信頼できる専門家に」といった形で、役割を分けて考える方もいらっしゃいます。

公正証書遺言をおすすめする理由

指定された未成年後見人は、就職の日から10日以内に届出をしなければならず、届書には遺言の謄本を添付します(戸籍法81条2項)。自筆証書遺言を自宅で保管していた場合は、家庭裁判所の検認を経る必要があり(民法1004条1項)、その分だけ時間がかかります。届出の期限との関係が気になるときは、市区町村の戸籍の窓口に早めにご相談ください。公正証書遺言は検認が不要で(同条2項)、方式の不備で無効になる心配も小さいため、お子さまのための遺言には向いています(公正証書遺言の記事)。法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言も、検認は不要です(自筆証書遺言書保管制度の記事)。

指定された未成年後見人がすること――10日以内の届出、財産目録、日々の務め

遺言は、遺言者が亡くなった時から効力を生じます(民法985条1項)。指定された方は、家庭裁判所の選任の審判を待つことなく、未成年後見人としての務めを始めることになります。

時期すること根拠
就職の日から10日以内未成年者の後見の開始の届出。届書に後見開始の原因と年月日、就職した年月日を記載し、遺言の謄本を添付します。届出先は、子の本籍地または届出人の所在地の市区町村です。戸籍法81条・25条
遅滞なく着手し、1か月以内子の財産の調査を終え、財産目録を作成します。期間は家庭裁判所で伸長できます。後見監督人がいるときは、その立会いが必要です。民法853条
後見の期間中子の監護・教育、財産の管理、契約などの代理。善良な管理者の注意をもって事務を行います。民法857条・859条・869条(644条の準用)
求められたとき家庭裁判所や後見監督人は、いつでも、後見の事務の報告や財産目録の提出を求め、財産の状況を調査することができます。民法863条
後見が終わったとき2か月以内に管理の計算(後見の計算)をし、10日以内に後見の終了の届出をします。民法870条、戸籍法84条

未成年後見は、子が18歳で成年に達したときや、養子縁組などによって親権を行う者ができたときなどに終わります。

遺言で指定された後見人も、家庭裁判所の監督を受けます

「遺言で指定されたのだから、裁判所は関係ない」というわけではありません。家庭裁判所は、指定された未成年後見人に対しても、事務の報告を求め、必要な処分を命じることができます(民法863条)。不正な行為や、後見の任務に適しない事由があるときは、解任されることもあります(民法846条)。子の財産は、後見人自身の財産とはっきり分けて管理し、収支の記録と領収書を残しておくことが大切です。

なお、家庭裁判所は、後見人と子の資力その他の事情によって、子の財産の中から相当な報酬を後見人に与えることができます(民法862条)。報酬を受けるには、家庭裁判所への申立てが必要です。

子が相続する財産の守り方――遺産分割での利益相反、未成年者控除、保険金の受け取り

親が亡くなると、未成年の子は相続人になります。未成年後見人の最初の大きな仕事は、相続の手続きであることが少なくありません。

遺産分割と利益相反

未成年の子が相続人になる遺産分割協議には、未成年後見人が子を代理して参加します。ただし、未成年後見人自身も同じ相続の相続人である場合(たとえば、成人した兄が未成年の弟の後見人になった場合)は、後見人と子の利益が相反します。この場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求する必要があります(民法860条が準用する826条)。未成年後見監督人がいるときは、監督人が子を代表します(民法860条ただし書・851条4号)。詳しくは、特別代理人の記事をご覧ください。

遺言で誰に何を相続させるかまで決めておけば、遺産分割協議そのものが不要になり、こうした手続きの負担を減らすことができます。未成年後見人の指定は、財産の承継についての定めとセットで考えるのがおすすめです。

相続税の未成年者控除

相続や遺贈で財産を取得した法定相続人が18歳未満である場合、相続税額から、10万円×(18歳に達するまでの年数)を差し引くことができます。1年未満の端数は1年として計算します(相続税法19条の3第1項)。

相続開始時の年齢18歳までの年数未成年者控除の額
5歳3か月13年(12年9か月を切り上げ)10万円×13年=130万円
15歳9か月3年(2年3か月を切り上げ)10万円×3年=30万円

控除しきれない部分は、その子の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます(同条2項)。適用の要件や計算の詳細は、障害者控除・未成年者控除の記事と国税庁のタックスアンサーNo.4164でご確認ください。

生命保険金・預貯金の受け取り

未成年の子を受取人とする生命保険金の請求や、子が相続した預貯金の払戻しは、一般に法定代理人が手続きをします。未成年後見人が決まっていなければ、手続きが止まってしまいます。必要な書類は保険会社・金融機関によって異なりますので、あらかじめ確認しておくと安心です。

財産が大きいときの工夫

子が受け取る財産が大きい場合は、後見人ひとりに管理の責任が集中しないようにする工夫も考えられます。

  1. 未成年後見監督人を遺言で指定する監督の目を入れることで、後見人自身の負担や、親族からの疑念も軽くなります(民法848条)。
  2. 信託を利用する財産を信託し、子の生活費や学費として少しずつ渡すしくみです(家族信託の記事)。
  3. 後見制度支援信託・後見制度支援預貯金家庭裁判所の関与のもとで、日常的に使わないお金を信託銀行などに預けるしくみで、未成年後見でも利用されています。利用できるかどうかは家庭裁判所の判断によります(後見制度支援信託の記事)。

未成年後見人の指定でよくある7つの落とし穴

  1. エンディングノートや口約束で「頼んである」と安心する 未成年後見人の指定は遺言でしかできません(民法839条1項)。方式を守った遺言書にしておく必要があります。
  2. 夫婦の一方だけが遺言に書いている 指定できるのは最後に親権を行う者です。どちらが先に亡くなるかは分かりませんので、ご夫婦それぞれの遺言に書いておきます。
  3. 指定する相手に、何も伝えていない 未成年後見人は、就職後は家庭裁判所の許可がなければ辞任できません(民法844条)。必ず事前に相談し、了解を得ておきます。
  4. 高齢の祖父母だけを指定し、予備の指定がない 指定した方が先に亡くなったり、引き受けられなくなったりすると、結局は家庭裁判所の選任になります。予備の指定を置きます。
  5. 「別れた相手には絶対に親権が行かない」と思い込む 遺言で指定しても、もう一方の親が親権者変更を申し立て、家庭裁判所が認めることがあります(民法819条6項)。事情がある場合は専門家に相談します。
  6. 10日以内の届出を知らない 指定された方は、就職の日から10日以内に、遺言の謄本を添えて届出をします(戸籍法81条)。遺言書の保管場所を、指定した方に伝えておきます。
  7. 子の財産と自分の財産を一緒に管理する 後見人は家庭裁判所の監督を受け、後見が終わったときには管理の計算をします(民法863条・870条)。口座を分け、記録を残すことが、子と後見人の双方を守ります。
ご相談事例
※以下は、実際のご相談を参考に構成した架空の事例です。特定の個人・団体とは関係ありません。

「私に何かあったら、娘は誰が育ててくれるのでしょうか」――Aさまのご相談

Aさま(40代)は、数年前に離婚し、小学2年生の娘さんをひとりで育てています。親権者はAさまです。健康診断で再検査の通知を受け取ったことをきっかけに、「もし私に何かあったら、娘はどうなるのでしょうか。近くに住む姉が『私が育てる』と言ってくれていますが、口約束だけで大丈夫でしょうか」とご相談に来られました。

私からは、「お姉さまに託したいというお気持ちは、遺言で『未成年後見人』として指定しておくことで、形にすることができます。エンディングノートや口頭のお約束では、法律上の指定にはなりません。あわせて、お嬢さまに残す財産のことや、生命保険の受取人のことも一緒に整理しておくと、お姉さまが動きやすくなります。なお、遺言で指定しても、元のご主人が親権者の変更を家庭裁判所に申し立てることはありえますので、その点も含めて専門家と文面を考えましょう」とお伝えしました。

Aさまは、お姉さまとあらためて話し合い、了解を得たうえで、公正証書遺言を作成されました。未成年後見人にお姉さまを、予備としてお姉さまのご主人を指定し、付言事項には、お姉さまに託す理由と、娘さんへの思いを書き添えられたそうです。Aさまは「再検査の結果は問題ありませんでした。でも、遺言を作ったことで、毎日を落ち着いて過ごせるようになりました」とおっしゃっていました。

― 私たちから一言 ―

若い世代の遺言は、「財産」よりも「子ども」のために

遺言というと、高齢になってから財産の分け方を決めるもの、という印象をお持ちの方が多いかもしれません。けれども、幼いお子さまを育てている方、とくにおひとりで育てている方にとって、遺言は「この子を誰に託すか」を決めておくための、大切な手段です。

未成年後見人の指定は、遺言でしかできません。そして、指定された方には、子どもが成人するまでの長い年月にわたる責任が生じます。だからこそ、託したい方と十分に話し合い、財産のことや万一の連絡先まで含めて、準備しておくことが大切です。

私たちは、ご事情を伺いながら論点を整理し、必要に応じて弁護士・司法書士・税理士などの専門家におつなぎしております。どうぞお気軽にご相談ください。

一般社団法人相続なんでも相談センター 代表理事 宮野 宏樹

この記事のまとめ

  • 未成年者に対して親権を行う者がいなくなると、未成年後見が開始します(民法838条1号)。
  • 最後に親権を行う者は、遺言で未成年後見人を指定できます(民法839条1項)。エンディングノートや口約束では指定になりません。
  • ご夫婦がそろっている場合は、それぞれの遺言に書いておきます。離婚して単独で親権を行っている方は指定できますが、もう一方の親からの親権者変更の申立てがありうる点に注意が必要です(民法819条6項)。
  • 指定がないときは、家庭裁判所が選任します(民法840条)。申立てから審判までの間、子の法定代理人がいない期間が生じます。
  • 指定された方は、就職の日から10日以内に遺言の謄本を添えて届出をし(戸籍法81条)、1か月以内に財産目録を作成します(民法853条)。家庭裁判所の監督も受けます(民法863条)。
  • 相続では、利益相反のときの特別代理人、相続税の未成年者控除(10万円×18歳までの年数)を確認します。最新の情報は法務省・裁判所・国税庁等でご確認ください。

参考文献(一次情報)

※本記事は一般的な解説を目的としたものであり、個別の事情により取り扱いが異なる場合がございます。本記事は法律上・税務上の助言を提供するものではなく、遺言の有効性、未成年後見人の指定の効力、親権者変更の申立てについての家庭裁判所の判断、相続税の課税関係などの結果を保証するものではありません。文例は一例であり、そのまま使用して有効な遺言になることを保証するものではありません。親権や未成年後見をめぐる判断は、お子さまの状況やご家族の事情によって異なります。制度は改正されることがありますので、最新の情報は法務省・裁判所・国税庁等でご確認のうえ、具体的な手続きについては、公証役場、家庭裁判所、市区町村の戸籍の窓口、または弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害等について、当センターは責任を負いかねます。

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