2026年9月20日
「母に後見人が必要になり、長男の私が選ばれました。ところが家庭裁判所から、母の預金のうち2,000万円を信託銀行に預けるように言われたのです。母のお金なのに、私が自由に下ろせないのでしょうか」――成年後見のご相談で、たびたびうかがう戸惑いです。これが後見制度支援信託・後見制度支援預貯金と呼ばれるしくみで、ご本人の財産を「日常的な支払をするのに必要十分な金銭」と「通常は使わない金銭」に分け、後者は信託銀行等や金融機関に預けて、払い戻すときには家庭裁判所が発行する「指示書」を必要とするというものです。最高裁判所事務総局家庭局の資料によれば、支援信託が導入されたのは平成24年2月1日。大切なのは、すべての後見で使えるわけではないという点で、支援信託の対象は成年後見及び未成年後見のみ、保佐・補助・任意後見では利用できません。一方、支援預貯金の対象は成年後見・未成年後見・保佐・補助で、任意後見では利用できず、保佐及び補助は一部の金融機関で令和7年10月から利用可能となりました。令和7年1月から12月に新たに利用した方は支援信託615人・支援預貯金2,005人、累計は支援信託31,234人、支援預貯金13,511人(平成30年1月以降)です。まとまったお金が必要になったときの一時金交付は同年708件、請求額は100万円以上500万円未満が約66.7%、7日以内の発行が約82.5%でした。このしくみが「後見人を疑うもの」ではなく、ご本人の財産とまじめに務める後見人の双方を守るものである理由、専門職後見人が関与する場面と報酬、そして相続が起きたあとの扱いまで、最高裁判所の一次資料にそって整理しました。