相続登記の登録免許税とは――税率は不動産の価額の1,000分の4(0.4%)

登録免許税は、不動産の登記や会社の登記、各種の登録・免許などを受けるときに国に納める税金です。不動産の相続による所有権の移転の登記(相続登記)については、不動産の価額を課税標準として、税率は1,000分の4と定められています(登録免許税法別表第一第1号(二)イ)。

項目内容
納める人登記を受ける人(不動産を相続して名義人になる相続人)
課税標準不動産の価額(原則として、固定資産課税台帳に登録された価格)
税率1,000分の4(0.4%)
納める時期登記を申請するときに、申請書とあわせて納付する

たとえば、不動産の価額が2,000万円であれば、登録免許税は8万円です。相続税のような基礎控除はなく、相続税がかからないご家庭でも、不動産の名義を変える以上は原則としてかかる税金です。

[相続登記は義務。登録免許税はその「必要経費」]
2024年4月1日から、相続登記の申請は義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり(不動産登記法76条の2第1項)、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となることがあります(同法164条1項。相続登記の義務化の記事)。なお、司法書士に依頼する場合の報酬や、戸籍・評価証明書などの取得費用は、登録免許税とは別にかかります。

「不動産の価額」の調べ方――固定資産課税台帳の価格と、評価額のない土地

課税標準となる不動産の価額は、法律上は登記の時における不動産の価額とされています(登録免許税法10条1項)。もっとも、当分の間は、固定資産課税台帳に登録された価格を基礎とした価額によることができるとされており(同法附則7条)、国税庁も、台帳に登録された価格がある場合は原則としてその価格であると案内しています(タックスアンサーNo.7191)。

確認できる書類

  1. 固定資産税の納税通知書に同封される課税明細書毎年4月から6月ごろに市区町村(東京23区は都税事務所)から届きます。「価格」または「評価額」の欄を見ます。
  2. 固定資産評価証明書市区町村の窓口で取得します。相続人が請求する場合は、相続関係が分かる戸籍などが必要になります。

どの書類を登記申請書に添付できるかは、申請先の法務局の案内をご確認ください。

「課税標準額」ではなく「価格(評価額)」を使う

課税明細書には、「価格(評価額)」と「固定資産税課税標準額」の両方が載っています。住宅用地などは特例で課税標準額が小さくなっているため、誤って課税標準額で計算すると、登録免許税が不足します。登録免許税の計算に使うのは「価格(評価額)」のほうです。また、評価額は年度ごとに決まりますので、申請する年度の価格を使います。年度が替わる4月前後に申請する場合は、どの年度の証明書が必要か、法務局にご確認ください。

持分だけを相続する場合

不動産の持分を取得する登記の場合、不動産の価額は、不動産全体の価額に持分の割合を掛けて計算した金額によります(登録免許税法10条2項)。亡くなった方が2分の1の持分を持っていた場合は、評価額の2分の1が課税標準になります。

評価額のない土地(私道など)

公衆用道路として使われている私道など、固定資産税が非課税で台帳に価格が登録されていない土地があります。この場合は、登記官が認定した価額が課税標準になります(タックスアンサーNo.7191)。近くの宅地の価格をもとに計算する取扱いが案内されることがありますが、算定方法は管轄の法務局にお問い合わせください。自宅前の私道の持分は、登記そのものを忘れやすいので、権利証や名寄帳で確認しておきましょう(相続財産の調べ方の記事)。

なお、墳墓地(お墓の土地)に関する登記は、登録免許税がかかりません(登録免許税法5条10号)。

計算の手順と端数処理――1,000円未満・100円未満の切捨てと最低税額1,000円

計算は、次の順序で行います。

  1. 不動産の価額を合計する一つの申請書で土地と建物など複数の不動産を申請するときは、それぞれの価額(持分の場合は持分を掛けた金額)を合計します。
  2. 課税標準の1,000円未満を切り捨てる合計額に1,000円未満の端数があるときは切り捨てます(国税通則法118条1項)。全額が1,000円に満たないときは、1,000円とします(登録免許税法15条)。
  3. 税率1,000分の4を掛ける切捨て後の課税標準に0.4%を掛けます。
  4. 税額の100円未満を切り捨てる計算した税額に100円未満の端数があるときは切り捨てます(国税通則法119条1項)。計算した金額が1,000円に満たないときは、1,000円となります(登録免許税法19条)。
設例計算
前提土地の価格 1,845万6,700円、建物の価格 432万1,500円を、一つの申請書で相続登記する。
① 合計1,845万6,700円 + 432万1,500円 = 2,277万8,200円
② 課税標準1,000円未満を切り捨てて 2,277万8,000円
③ 税率を掛ける2,277万8,000円 × 1,000分の4 = 9万1,112円
④ 登録免許税100円未満を切り捨てて 9万1,100円

申請書には、②の金額を「課税価格」、④の金額を「登録免許税」として記載します。計算に不安があるときは、申請の前に法務局の登記手続案内(予約制のところが多くなっています)で確認することもできます。

相続・遺贈・贈与で税率はどう違うか――相続人への遺贈は0.4%、それ以外は2%

同じ「亡くなった方から不動産を引き継ぐ」場面でも、登記の原因によって税率が変わります。

登記の原因税率
相続(法定相続・遺産分割・「相続させる」旨の遺言)1,000分の4(登録免許税法別表第一第1号(二)イ)
相続人に対する遺贈1,000分の4(同法17条1項で、「相続」に相続人に対する遺贈を含むとされています)
相続人以外の人に対する遺贈1,000分の20(同(二)ハ「その他の原因による移転の登記」)
贈与(生前贈与・死因贈与)1,000分の20(同上)
配偶者居住権の設定建物の価額の1,000分の2(同(三の二))

たとえば、価額2,000万円の不動産を、孫(相続人でない場合)やお世話になった方に遺贈すると、登録免許税は40万円となり、相続の場合(8万円)の5倍です。遺言で財産を渡す相手を決めるときは、この違いも知っておくとよいでしょう。相続人に対する遺贈で1,000分の4の税率の適用を受けるには、受遺者が相続人であることを証する戸籍などの添付が求められます。詳しくは法務局にご確認ください(「相続させる」と「遺贈する」の違いの記事)。

[売買の税率は別です]
不動産を売買で取得した場合の所有権移転登記は、本則1,000分の20で、土地の売買については1,000分の15とする軽減措置があります(租税特別措置法72条。国税庁の案内では2029年3月31日まで)。相続登記とは税率が異なりますので、混同しないようご注意ください。

免税措置①――相続登記をしないまま亡くなった人を名義人とする登記(数次相続)

相続登記の登録免許税には、土地について2つの免税措置があります(租税特別措置法84条の2の2)。いずれも適用期限は2027年(令和9年)3月31日までです。

1つ目は、相続登記をしないまま亡くなった方についての措置です。個人が相続(相続人に対する遺贈を含みます)により土地の所有権を取得した場合に、その人がその相続登記を受ける前に亡くなったときは、その亡くなった人を登記名義人とするために受ける登記について、登録免許税が課されません(同条1項)。

例:祖父A → 父B → 子C の順に相続が起きた場合登録免許税
祖父Aから父Bへの相続登記(父Bは登記をしないまま死亡)土地は免税(84条の2の2第1項)
父Bから子Cへの相続登記原則どおり1,000分の4(価額100万円以下の土地であれば、次の免税措置②の対象になり得ます)

法務局の案内によれば、子Cがその土地を相続している必要は必ずしもなく、たとえば父Bが生前にその土地を第三者に売却していた場合でも、祖父Aから父Bへの相続登記は免税となります。

注意したいのは、この措置の対象が土地であることです。建物の相続登記には適用されません。相続が何代にもわたって重なっている場合の登記の進め方は、数次相続の記事をご覧ください。

免税措置②――価額100万円以下の土地と、申請書への条文の記載

2つ目は、価額が低い土地についての措置です。個人が、土地について相続による所有権の移転の登記(相続人に対する遺贈を含みます)または表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記を受ける場合に、課税標準となる不動産の価額が100万円以下であるときは、登録免許税が課されません(租税特別措置法84条の2の2第2項)。

確認する点内容
対象となる不動産土地に限られます。建物は対象外です。
対象となる地域令和7年度の税制改正により、全国の土地に拡充されました(法務局の案内)。
持分を取得する場合土地全体の価額に持分の割合を掛けた金額が100万円以下かどうかで判定します(法務局の案内)。
適用期限2027年(令和9年)3月31日までに受ける登記

山林や農地、私道の持分、地方の宅地などでは、この措置に当てはまることが少なくありません。複数の土地をまとめて申請する場合の判定や申請書の書き方は、法務局の記載例をご確認ください。

申請書に条文を書かないと、免税は受けられません

法務局は、免税措置の適用を受けるためには、免税の根拠となる法令の条項を申請書に記載する必要があるとし、記載がない場合は免税措置は受けられないと案内しています。記載する文言は、免税措置①が「租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税」、免税措置②が「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」です。

[条番号が変わっています――古い解説・書式にご注意ください]
この免税措置の条文は、以前は「租税特別措置法第84条の2の3」でしたが、令和8年度の税制改正に伴って条番号が繰り上がり、2026年4月以降の法務局の案内では「第84条の2の2」と表示されています。インターネット上の解説や古い申請書の書式には、旧番号のままのものが残っている可能性があります。申請の際は、法務局の最新の記載例で条番号をご確認ください。また、適用期限はこれまでも税制改正で延長されてきましたが、2027年4月以降の取扱いは、最新の情報を法務局・国税庁でご確認ください。

納め方と、納めた後のこと――収入印紙・現金納付・電子納付、相続税・譲渡所得での扱い

納付の方法

方法内容
現金納付金融機関や税務署で納付し、領収証書を申請書に貼り付けて提出します(登録免許税法21条)。法律上はこの方法が原則です。
収入印紙税額が3万円以下の場合などは、収入印紙を申請書に貼り付けて納付できます(同法22条)。書面で申請する場合に広く使われている方法です。
電子納付オンラインで申請する場合は、インターネットバンキングなどによる電子納付を利用できます。

収入印紙で納める場合、印紙は申請書(または台紙)に貼るだけで、消印(割印)はしません。消印は法務局が行います。税額が3万円を超える場合でも、登記機関が認めたときなどは印紙で納付できるとされています(登録免許税法施行令29条)。具体的な取扱いは申請先の法務局にご確認ください。

納めすぎたとき・申請を取り下げたとき

計算を誤って多く納めた場合や、申請が却下された場合、申請を取り下げた場合には、還付の手続きがあります(登録免許税法31条)。一方、納付額が不足していると、法務局から補正(追加の納付)を求められます。

相続人申告登記には登録免許税がかからない

遺産分割がまとまらないなどの理由で、期限内に相続登記ができないときは、相続人申告登記の申出をすることで、相続登記の申請義務を果たしたものとみなされます(不動産登記法76条の3第2項)。法務省は、相続人申告登記について登録免許税がかからないと案内しています。ただし、相続人申告登記は権利の移転を公示するものではなく、不動産を売却したり担保に入れたりするには、あらためて相続登記が必要で、そのときには登録免許税がかかります。

相続税・譲渡所得との関係

相続登記の登録免許税は、相続人が相続の後に負担する費用です。亡くなった方の債務ではありませんので、相続税の計算で債務として差し引くことはできないと考えられます(葬儀費用と債務控除の記事)。

一方、国税庁は、業務に使われていない土地建物を相続により取得した際に相続人が支払った登記費用は、将来その不動産を売ったときの取得費に含まれると案内しています(タックスアンサーNo.3270)。ただし、取得費が分からず売った金額の5%を取得費とする場合には、登記費用を別に加えることはできません。登録免許税の領収証書や司法書士の請求書は、売却の可能性がある限り保管しておきましょう(相続した不動産を売ったときの譲渡所得税の記事)。

相続登記の登録免許税でよくある7つの落とし穴

  1. 固定資産税の「課税標準額」で計算してしまう 使うのは「価格(評価額)」です。課税標準額で計算すると、税額が不足することがあります。
  2. 古い年度の評価証明書を使う 評価額は年度ごとに決まります。申請する年度の価格を使います。年度替わりの時期は法務局に確認します。
  3. 端数処理を間違える 課税標準は1,000円未満切捨て、税額は100円未満切捨て、最低税額は1,000円です(国税通則法118条・119条、登録免許税法19条)。
  4. 私道の持分など、評価額のない土地を忘れる 台帳に価格のない土地は、登記官が認定した価額が課税標準になります。登記漏れにもご注意ください。
  5. 免税措置に当てはまるのに、申請書に条文を書かない 記載がない場合は免税措置を受けられません(法務局の案内)。条番号は最新の記載例で確認します。
  6. 免税措置が建物にも使えると思い込む 2つの免税措置の対象は土地です(租税特別措置法84条の2の2)。建物には原則どおり課税されます。
  7. 遺贈や贈与でも0.4%だと思い込む 相続人以外への遺贈・贈与は1,000分の20です。遺言を作るときに確認しておきます。
ご相談事例
※以下は、実際のご相談を参考に構成した架空の事例です。特定の個人・団体とは関係ありません。

「免税になる土地があるとは知りませんでした」――Uさまのご相談

Uさま(60代)は、お父さまが亡くなり、実家の土地・建物と、故郷にある山林と畑を相続することになりました。調べてみると、山林と畑は祖父の名義のままで、お父さまは相続登記をしないまま亡くなっていました。Uさまは「祖父から父、父から私と、二回分の登録免許税がかかるのでしょうか。自分で申請書を作っているのですが、計算が合っているか不安です」とお話しになりました。

私からは、「土地については、相続登記をしないまま亡くなった方を名義人とする登記と、価額が100万円以下の土地の相続登記に、免税措置があります。ただし、申請書に根拠の条文を書かないと受けられません。条番号も最近変わっていますので、法務局の最新の記載例で確認しましょう。実家の建物は免税の対象外ですので、評価額の『価格』の欄をもとに計算します」とお伝えしました。

Uさまは司法書士に相談し、祖父名義の山林と畑については、祖父からお父さまへの登記は免税措置①、お父さまからUさまへの登記は価額がいずれも100万円以下であったため免税措置②の記載をしたうえで申請し、実家の土地・建物については登録免許税を納めて、お父さまからUさまへの相続登記を終えました。Uさまは「知らなければ、払わなくてよい税金を払うところでした。領収証書は売るときのために取っておきます」とおっしゃっていました。

― 私たちから一言 ―

金額は小さくても、「知らないと損をする」税金です

登録免許税は、相続税に比べると金額が小さく、後回しにされがちです。けれども、相続登記は義務であり、不動産をお持ちのご家庭ではほぼ避けて通れない費用です。

一方で、免税措置は「申請書に書いた人だけ」が受けられるしくみになっています。地方の山林や畑、私道の持分など、価額の低い土地をお持ちの方ほど、確認する価値があります。免税措置には期限があり、条番号も改正で変わることがありますので、申請の直前に法務局の最新の案内をご覧になることをおすすめします。

私たちは、ご事情を伺いながら論点を整理し、必要に応じて弁護士・司法書士・税理士などの専門家におつなぎしております。どうぞお気軽にご相談ください。

一般社団法人相続なんでも相談センター 代表理事 宮野 宏樹

この記事のまとめ

  • 相続登記の登録免許税は、不動産の価額の1,000分の4(0.4%)です(登録免許税法別表第一第1号(二)イ)。
  • 不動産の価額は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格です。課税明細書の「課税標準額」ではなく「価格(評価額)」を使います。
  • 課税標準は1,000円未満、税額は100円未満を切り捨て、計算した金額が1,000円未満のときは1,000円です。
  • 相続人に対する遺贈は相続と同じ1,000分の4ですが、相続人以外への遺贈や贈与は1,000分の20です。
  • 相続登記をしないまま亡くなった方を名義人とする土地の登記と、価額100万円以下の土地の相続登記は、2027年3月31日まで免税です(租税特別措置法84条の2の2)。申請書に条文の記載が必要です。
  • 登記費用は、将来の売却時に取得費に含められる場合があります。最新の情報は法務局・国税庁でご確認ください。

参考文献(一次情報)

※本記事は一般的な解説を目的としたものであり、個別の事情により取り扱いが異なる場合がございます。本記事は法律上・税務上の助言を提供するものではなく、登録免許税の税額、免税措置の適用の可否、登記申請の受理などの結果を保証するものではありません。課税標準となる不動産の価額、評価額のない土地の認定価額、免税措置の適用の可否と申請書の記載、納付の方法、相続税・譲渡所得での取扱いなどは、不動産の種類、登記の原因、申請の時期、管轄の法務局の取扱いなどの個別の事情によって異なります。本文中の計算例は説明のための簡略な設例であり、実際の税額とは異なることがあります。免税措置や軽減措置の適用期限・条番号は、税制改正により変更されることがあります。本文中の条文の引用は、読みやすさのために一部を省略し、要旨として示した箇所があります。本記事の内容は2026年10月時点の情報に基づいていますが、実際にご検討される際は、必ず法務局、法務省、国税庁、e-Gov法令検索で最新の内容をご確認のうえ、司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害等について、当センターは責任を負いかねます。

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