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生前対策・贈与CASE 01

「子や孫に負担を残したくない」
── 元気なうちに始めた、贈与による相続税対策

ご相談者香川 清一郎さん(仮名・70代男性) 地域滋賀県(変更) ご家族妻・長女夫婦・お孫さん

香川清一郎さんが当センターの扉を叩いたのは、何か困りごとが起きたからではありませんでした。「自分にもしものことがあったとき、子や孫に余計な負担や面倒をかけたくない」――そんな静かな願いからの、いわば“備え”のご相談でした。お元気で、まだ先のことかもしれない。けれど、ご自身の財産がいったいいくらあって、相続税がどれくらいかかるのか、その全体像が見えないことが、胸の奥でずっと小さな不安としてくすぶっていたのです。

ご相談のきっかけ

「終活、終活と世間では言うけれど、自分は何から手をつければいいのか分からなくてね」。初回のご相談で、香川さんは少し照れたように笑いました。きっかけは、ある日たまたま目にした相続のセミナー案内。「元気なうちにこそ考えておくべきだ」という一文が、ずっと心に残っていたといいます。

ご家族の仲は良好。だからこそ「自分がいなくなった後、子どもたちが相続の手続きで頭を抱えたり、ましてや揉めたりするのだけは避けたい」。その想いが、重い腰を上げる後押しになりました。

見えてきた、財産の全体像

香川さんの財産は、長年暮らしてきた自宅の土地・建物のほか、現役時代からこつこつ買い増してきた上場株式が数銘柄、そして複数の銀行に分かれた預貯金。ご自身でも「どこに、何が、いくらあるのか」を正確には把握しきれていませんでした。

そこでまず取りかかったのが、財産の棚卸しです。一つひとつ資料を確認しながら財産目録を作り、相続税の概算を試算してみると、その額はおよそ690万円。「思っていたより、かかるものなんですね」。数字を目の前にして、香川さんの表情が引き締まりました。けれど、ここからが本題です。お元気な“今”だからこそ、打てる手がある――それをお伝えするのが、当センターの役割でした。

“今だからできる”対策

ご提案の軸は、計画的な生前贈与でした。やみくもに渡すのではなく、制度を上手に組み合わせるのがポイントです。

まず、お孫さんへは教育資金の一括贈与の非課税制度を活用。進学や習い事に使うお金を、一定額まで非課税で前もって渡しておける仕組みです。次に、長女さんへの贈与は「相続時精算課税制度」へ切り替えました。以前は別の方法で贈与を進めていましたが、相続財産の全体像が見えた今、将来の“持ち戻し”を避けられるこの制度のほうが有利だと判断したためです。

さらに踏み込んで、相続税と贈与税の税率を一つひとつ比較。「贈与税を払ってでも、トータルの税負担が小さくなる」範囲を見極め、税率の低いゾーンを使って計画的に贈与していく道筋を描きました。もちろん、「どこまで渡すか」は香川さんとご家族が納得して決めること。金額の一つひとつを、ご家族で相談しながら進めていただきました。

物語のその後

「何を、どの順番で進めればいいか」が見えたことで、漠然としていた不安は、具体的な“やることリスト”へと姿を変えていきました。贈与のための銀行口座を新しく開くところから、香川さんは一歩ずつ歩みはじめています。

「これで、子どもや孫に余計な心配をかけずにすみそうだ」。穏やかにそう話す香川さんの姿に、相続対策とは“数字の話”であると同時に、“家族への想いを形にする作業”なのだと、あらためて感じさせられました。

当センターの対応

  1. 財産の棚卸し──不動産・株式・預貯金をすべて洗い出し、財産目録を作成。相続税の概算(約690万円)を試算しました。
  2. お孫さんへの教育資金贈与──教育資金の一括贈与の非課税制度(一定額まで非課税)を活用する方針をご提案しました。
  3. 長女さんへの贈与は「相続時精算課税制度」へ──将来の持ち戻しを避けられる制度に切り替え、毎年の基礎控除も活かす形に。
  4. 税率差を活かした計画贈与──相続税と贈与税の税率を比較し、税負担の総額が小さくなる範囲で計画的に贈与。詳細な税額は提携税理士と連携して精査しました。
この事例のポイント

生前の相続税対策は、「元気なうち」であることが最大の武器です。まずは財産の棚卸し→試算→贈与の設計という順番が基本。贈与は制度の選び方ひとつで結果が大きく変わります。具体的な税額計算は税理士と連携して進めます。くわしくは相続税に関するページもあわせてご覧ください。

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本ページの相談事例は、当センターに実際にお寄せいただいたご相談をもとに、ご相談者のプライバシー保護のため、 お名前(すべて仮名)・地名・財産の金額・固有名詞等を変更し、必要に応じて複数の事例を再構成して作成しています。 登場する人物・地名・数字は、特定の個人・団体を示すものではありません。 また、記載は作成時点の一般的な制度・実務にもとづくもので、法令改正等により変わることがあります。 遺産分割協議書および関係書類の作成は行政書士・司法書士が、不動産登記は司法書士が、相続税の申告は税理士が、 相続人間に争いのある事案の代理・調整は弁護士が、それぞれ行います。 手続きの内容・期間・費用は、ご家族の状況により異なります。具体的なご相談は、当センターおよび提携専門家までお問い合わせください。
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