贈与税はどんなときにかかるか――個人から財産をもらった人が納める税金

贈与税は、個人から贈与によって財産を取得した人にかかる税金です(相続税法1条の4)。納めるのは、財産をもらった側です。渡した側ではありません。

民法上の贈与は、当事者の一方が財産を無償で相手に与える意思を表示し、相手がそれを受け入れることによって成立する契約です(民法549条)。「あげます」「もらいます」という双方の合意が必要であり、親が子の名義で預金をしていただけで、子がそのことを知らなかったという場合は、そもそも贈与が成立していないと判断されることがあります(名義預金の記事)。

項目内容根拠
だれが納めるか贈与により財産を取得した個人(もらった人)相続税法1条の4
計算の単位1月1日から12月31日までの1年間に、もらった財産の価額の合計額相続税法21条の2
基礎控除110万円(もらった人1人につき、1年ごと)租税特別措置法70条の2の4
税率10%から55%までの8段階。一般税率と特例税率の2種類相続税法21条の7、租税特別措置法70条の2の5
申告と納付もらった年の翌年2月1日から3月15日まで相続税法28条・33条

基礎控除の110万円は、もらった人ごとに、1年間の合計額から差し引きます。「贈与してくれた人ごとに110万円」ではありません。たとえば、同じ年に父から100万円、祖母から100万円をもらった場合、合計200万円から110万円を差し引いた90万円が課税の対象になります。

[「贈与」という形でなくても、贈与税がかかることがあります]
著しく低い価額で財産を譲り受けた場合や、借金を免除してもらった場合などは、当事者に贈与のつもりがなくても、贈与により取得したものとみなして贈与税の対象になることがあります(相続税法7条・8条・9条)。親子間の売買や貸し借りについては、親子間の低額譲渡の記事と親子間のお金の貸し借りの記事で整理しています。

かからない財産と、間違えやすい境目――生活費・教育費、法人からの贈与、相続があった年の贈与

贈与によって取得した財産であっても、その性質や目的から、贈与税の課税価格に算入しないとされているものがあります(相続税法21条の3ほか)。国税庁のタックスアンサー(No.4405)に挙げられている主なものは、次のとおりです。

財産扱い
法人からの贈与で取得した財産贈与税はかかりません。ただし、所得税の対象になります。
扶養義務者からの生活費・教育費夫婦、親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものには、贈与税がかかりません。
香典・祝物・見舞いなど個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物、見舞いなどの金品で、社会通念上相当と認められるものには、贈与税がかかりません。
相続があった年に、被相続人から受けた贈与相続や遺贈で財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与で取得した財産は、贈与税ではなく相続税の対象になります(相続税法21条の2第4項)。
特例の適用を受けたもの住宅取得等資金、教育資金、結婚・子育て資金の贈与の特例などで、一定の要件を満たして課税価格に算入されなかったもの。

生活費・教育費は「必要な都度、直接」が条件です

生活費や教育費の贈与に贈与税がかからないのは、必要な都度、直接これらに充てるためのものに限られます。国税庁は、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり、株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかる、と説明しています(タックスアンサーNo.4405)。

「孫の将来の学費として、まとめて500万円を渡しておく」という場合は、この扱いには当たらないと考えられます。なお、まとまった教育資金を先に渡すための「教育資金の一括贈与の非課税の特例」は、適用期限が延長されず、2026年(令和8年)3月31日で終了しました。同年4月1日以後は、新たにこの特例の適用を受けることはできません(終了までに拠出した分の扱いは教育資金の一括贈与の記事)。結婚や子育ての費用については、別に結婚・子育て資金の一括贈与の特例があり、こちらにも適用期限が定められています(結婚・子育て資金の一括贈与の記事)。これから教育費を援助する場合は、必要な都度の贈与を基本に、暦年課税の基礎控除や相続時精算課税の利用を含めて検討することになります。最新の取扱いは国税庁でご確認ください。

相続があった年の贈与は、もらった人の立場で扱いが分かれます

相続があった年に被相続人から贈与を受けていた場合、その方が相続や遺贈で財産を取得したのであれば、贈与財産は相続税の計算に取り込まれ、贈与税はかかりません。一方、国税庁は、相続財産を取得しなかった人が、相続があった年に被相続人から贈与で取得した財産は、相続税ではなく贈与税の対象になる、と注意を促しています(タックスアンサーNo.4405)。お孫さんなど、相続人でない方が贈与を受けていた場合は、申告が必要かどうかを確認してください。

税額の計算――基礎控除110万円と、一般税率・特例税率の速算表

贈与税(暦年課税)の計算は、3つの段階で行います。

  1. 1年間にもらった財産を合計しますその年の1月1日から12月31日までに、贈与によりもらった財産の価額を合計します。複数の人からもらった場合は、すべて合計します。
  2. 基礎控除額110万円を差し引きます合計額から110万円を差し引きます。残りがなければ、贈与税はかかりません。
  3. 残りの金額に税率を掛けます基礎控除後の金額を速算表に当てはめて、税額を計算します。
(1年間の贈与財産の合計 - 110万円)× 税率 - 控除額
贈与税額(暦年課税)

相続税法が定める基礎控除は60万円ですが(相続税法21条の5)、租税特別措置法によって、平成13年1月1日以後の贈与については110万円とされています(租税特別措置法70条の2の4)。

税率は2種類あります

速算表は、一般贈与財産用(一般税率)と特例贈与財産用(特例税率)の2つがあります。どちらを使うかは、「だれから、だれへの贈与か」で決まります。

区分使う場面
特例税率直系尊属(父母・祖父母など)から、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の人への贈与(租税特別措置法70条の2の5)。父から子へ、祖父から孫へ、といった場合です。
一般税率特例税率に当たらない贈与。兄弟姉妹の間、夫婦の間、配偶者の父母からの贈与、父母からその年の1月1日時点で18歳未満の子への贈与などです。

国税庁は、特例税率について「夫の父からの贈与等には使用できません」と説明しています(タックスアンサーNo.4408)。配偶者の父母は、ご自身から見て直系尊属ではないためです。なお、令和4年3月31日以前の贈与については、「18歳」は「20歳」とされていました。

贈与税の速算表

一般贈与財産用(一般税率)
基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%―
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円
特例贈与財産用(特例税率)
基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%―
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

上の表は、国税庁タックスアンサーNo.4408(令和8年4月1日現在法令等)に掲載されている速算表です。速算表には、基礎控除額の110万円を差し引いた後の金額を当てはめます。もらった金額そのものを当てはめないよう、ご注意ください。

計算例で確かめる――一般と特例の両方がある年、複数の人からもらった年

国税庁が示している計算例に沿って、確認します。

例1:一般税率で計算する場合(贈与財産500万円)

500万円 - 110万円 = 390万円
390万円 × 20% - 25万円 = 53万円
兄から500万円の贈与を受けた場合

例2:特例税率で計算する場合(贈与財産500万円)

500万円 - 110万円 = 390万円
390万円 × 15% - 10万円 = 48.5万円
父から、18歳以上の子が500万円の贈与を受けた場合

同じ500万円でも、だれからもらうかによって、税額が4.5万円異なります。金額が大きくなるほど、差は開きます。

1年間の贈与額一般税率による税額特例税率による税額
200万円9万円9万円
300万円19万円19万円
500万円53万円48.5万円
1,000万円231万円177万円

※上の表は、その年の贈与がその1件だけである場合について、速算表に当てはめて計算したものです。実際の税額は、ほかの贈与の有無や特例の適用によって異なります。

例3:一般と特例の両方がある場合

同じ年に、直系尊属からの贈与(特例贈与財産)と、それ以外の人からの贈与(一般贈与財産)の両方を受けた場合は、計算が少し複雑になります(租税特別措置法70条の2の5第3項)。すべての財産を合計した金額をもとに、それぞれの税率で税額を計算し、財産の割合で按分して合計します。

  1. 全部を一般税率で計算し、一般贈与財産の割合を掛けます一般贈与財産が100万円、特例贈与財産が400万円の場合、合計500万円から110万円を引いた390万円に一般税率を当てはめると53万円です。これに100万円÷500万円を掛けて、10.6万円となります。
  2. 全部を特例税率で計算し、特例贈与財産の割合を掛けます同じ390万円に特例税率を当てはめると48.5万円です。これに400万円÷500万円を掛けて、38.8万円となります。
  3. 2つを合計します10.6万円+38.8万円=49.4万円が、納める贈与税額です。

「贈与してくれた人ごとに別々に計算する」のではありません

夫の母から100万円、実の父から400万円をもらった場合に、「どちらも別々に110万円を引けるから、100万円のほうは税金がかからない」と考えるのは誤りです。基礎控除は1年に110万円だけで、合計額から差し引きます。複数の方から贈与を受ける年は、合計額で確認してください。

「いつの贈与か」で年分が決まる――書面による贈与と口頭の贈与、登記の時期

贈与税は1年ごとに計算しますので、その贈与が何年分のものかが重要です。国税庁の通達は、贈与による財産取得の時期を次のように定めています(相続税法基本通達1の3・1の4共-8)。

贈与の形財産取得の時期
書面による贈与その契約の効力の発生した時
書面によらない贈与(口頭の贈与)その履行の時(実際に財産が引き渡された時)
停止条件付の贈与その条件が成就した時(同通達1の3・1の4共-9)
農地・採草放牧地の贈与原則として、農地法の許可があった日または届出の効力が生じた日(同通達1の3・1の4共-10)

書面によらない贈与は、履行が終わるまでは、各当事者が解除することができます(民法550条)。口約束だけの段階では、まだ確定的に財産が移ったとはいえないため、税務上も「履行の時」を基準にしているものと考えられます。

不動産など、登記・登録をする財産

不動産のように、所有権の移転について登記や登録をする財産については、特別の取扱いがあります。贈与の時期が明確でないときは、特に反証のない限り、その登記または登録があった時に贈与があったものとして取り扱うとされています(相続税法基本通達1の3・1の4共-11)。

「何年も前に口頭で贈与を受けていた」という場合でも、それを裏付ける資料がなければ、名義を変更した年の贈与として扱われる可能性があります。不動産の贈与は、評価額が大きくなりやすいため、名義を変更する前に、贈与税の負担を確認しておくことが大切です。

[贈与契約書を作る意味]
贈与契約書は、法律上かならず作らなければならないものではありません。ただ、いつ、だれからだれへ、何を贈与したのかを後から示すための資料になります。あわせて、贈与を受けた方ご自身の口座に振り込み、通帳や印鑑を受け取った方が管理する、という実態を整えておくことが、あとの相続の場面でも役に立ちます。

申告と納付――翌年2月1日から3月15日、税額がゼロでも申告が要る場合

贈与税額がある場合、財産をもらった人は、もらった年の翌年2月1日から3月15日までに、贈与税の申告書を提出し(相続税法28条1項)、同じ期限までに納付します(相続税法33条)。所得税の確定申告(2月16日から)とは、開始日が異なります。

項目内容
申告する人贈与により財産を取得した人(もらった人)
期限贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで
提出先原則として、贈与を受けた人の住所を所轄する税務署(相続税法62条)
提出方法e-Taxによる送信、郵便・信書便による送付、税務署の時間外収受箱への投函など
納付申告書の提出期限までに、金銭で一時に納めるのが原則

1年間にもらった財産の合計額が110万円以下であれば、暦年課税の贈与税額はありませんので、原則として申告は必要ありません。

税額がゼロでも、申告が必要になる場合があります

贈与税の特例には、申告書を提出することが適用の条件になっているものがあります。贈与税の配偶者控除(おしどり贈与の記事)や、住宅取得等資金の贈与の非課税(住宅取得等資金贈与の記事。適用期限にご注意ください)などです。「特例を使えば税額がゼロになるから、申告しなくてよい」と考えてしまうと、特例そのものが受けられなくなるおそれがあります。特例ごとに、申告の要否と添付書類を確認してください。

納付の方法

国税庁は、納付の方法として、ダイレクト納付、インターネットバンキング等による電子納税、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付、金融機関や税務署の窓口での現金納付などを案内しています(タックスアンサーNo.4429)。方法によって、利用できる金額の上限や、事前の届出の要否が異なります。

一度に納めることが難しいとき――延納

贈与税にも、延納の制度があります(相続税法38条3項・4項)。国税庁の説明によると、延納を受けるには、次の3つのすべてに当てはまることが必要です。

延納の期間は5年以内で、年賦により納めます。延納しようとする贈与税の納期限までに、延納申請書を税務署長に提出する必要があります。延納が認められた税額には、利子税がかかります。なお、相続税と異なり、贈与税には物納の制度はありません(相続税の延納・物納は延納と物納の記事)。

贈与を受けた人が、申告の前に亡くなったとき

贈与税の申告をすべき人が、申告書を提出しないまま亡くなった場合は、その相続人が、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、亡くなった方に代わって申告書を提出することとされています(相続税法28条2項、27条2項)。

申告しなかったとき――加算税・延滞税、贈与した人の連帯納付義務、「6年・7年」の期間制限

加算税と延滞税

申告期限までに申告しなかった場合や、実際にもらった額より少ない額で申告した場合には、本来の税金のほかに加算税がかかります。納付が期限に遅れた場合は、遅れた税額に対して延滞税がかかります(タックスアンサーNo.4429)。加算税の種類やしくみは、相続税の場合と共通するところが多くあります(加算税・延滞税の記事)。申告が必要だったと気づいたときは、早めに税務署や税理士に相談し、期限後申告をすることをおすすめします。

贈与した人も、連帯して納める義務を負います

贈与税を納めるのは、もらった人です。ただし、財産を贈与した人も、もらった人のその年分の贈与税のうち、贈与した財産に対応する部分について、その財産の価額に相当する金額を限度として、連帯して納付する責任を負います(相続税法34条4項)。

お子さんやお孫さんに贈与をしたあと、受け取った側が贈与税を納めないままにしていると、渡した側に納付が求められる可能性がある、ということです。贈与をするときは、「税金のことは受け取った側に任せる」のではなく、申告と納付まで済んだことを確かめておくと安心です。相続税の連帯納付義務については、相続税の連帯納付義務の記事で整理しています。

税務署が課税できる期間――原則6年、偽りその他不正の行為があれば7年

税務署長が贈与税について更正や決定をすることができる期間には、制限があります。贈与税については特別の定めがあり、申告書の提出期限から6年を経過する日までとされています(相続税法37条1項)。偽りその他不正の行為によって税額を免れた場合は、7年です(同条4項)。

「何年も前のことだから、もう関係ない」とは限りません

この期間は、贈与が実際に成立していたことが前提です。親が子の名義で預金を積み立てていただけで、子がその存在を知らず、通帳や印鑑も親が管理していた、という場合は、贈与が成立していないと判断されることがあります。その場合、預金は親の財産のままですので、期間が過ぎて課税されなくなるのではなく、親の相続のときに、相続財産として相続税の対象になります。「昔の贈与だから大丈夫」と思い込まず、贈与の実態があったかどうかを確認してください(名義預金の記事)。

贈与税を納めていても、相続税の計算に関係することがあります

暦年課税による贈与は、贈与した方が亡くなったときに、相続開始前の一定期間内のものが相続税の課税価格に加算されます。この場合、すでに納めた贈与税額は、相続税額から控除されます。加算の対象となる期間は、2024年(令和6年)1月1日以後の贈与から段階的に延長されています。くわしくは生前贈与の7年ルールの記事をご覧ください。

贈与税の申告と納付でよくある7つの落とし穴

  1. 「贈与してくれた人ごとに110万円まで」と考える 基礎控除は、もらった人1人につき年110万円です。複数の人からもらった年は、合計額から110万円を差し引きます。
  2. 速算表に、もらった金額をそのまま当てはめる 速算表に当てはめるのは、110万円を差し引いた後の金額です。国税庁の速算表にも、その旨が記載されています。
  3. 配偶者の父母からの贈与に、特例税率を使う 特例税率は、ご自身の直系尊属からの贈与に使うものです。配偶者の父母からの贈与は、一般税率で計算します。
  4. 生活費・教育費の名目なら、まとめて渡しても課税されないと考える 贈与税がかからないのは、必要な都度、直接充てるものに限られます。預金や投資に回した場合は、贈与税の対象になります。
  5. 不動産の名義を変えてから、贈与税のことを考える 贈与の時期が明確でないときは、特に反証のない限り、登記があった時に贈与があったものとして扱われます。名義変更の前に、税額を確認します。
  6. 特例で税額がゼロになるので、申告しない 配偶者控除などの特例は、申告が適用の条件になっています。税額がゼロでも、期限内に申告書を提出します。
  7. 渡した側は、贈与税に関係がないと考える 贈与した人も、連帯納付の責任を負います(相続税法34条4項)。受け取った方の申告と納付が済んだことを確かめておきます。
ご相談事例
※以下は、実際のご相談を参考に構成した架空の事例です。特定の個人・団体とは関係ありません。

「父から300万円、夫の母から100万円をもらいました。別々に計算すればよいのでしょうか」――Kさまのご相談

Kさま(40代)は、昨年、ご自宅のリフォームにあたって、実のお父さまから300万円、ご主人のお母さまから100万円の援助を受けられました。年が明けてから贈与税のことが気になり、ご相談にいらっしゃいました。Kさまは「義母からの100万円は110万円より少ないので、税金はかからないと思っています。父からの300万円だけ、申告すればよいのでしょうか」とお話しになりました。

私からは、「基礎控除の110万円は、贈与してくださった方ごとではなく、Kさまが1年間にもらった合計額から差し引きます。今回は合計400万円になりますので、そこから110万円を引いた290万円が計算のもとになります。また、お父さまからの分は特例税率、ご主人のお母さまからの分は一般税率と、使う税率が分かれますので、両方ある年の計算方法で按分することになります。申告の期限は3月15日です。なお、お父さまからの分については、リフォームの内容や時期によって、住宅取得等資金の特例を検討できる場合もありますので、要件に当てはまるかどうかを含めて、税理士に確認なさることをおすすめします」とお伝えしました。

Kさまは、振込の記録とリフォームの契約書をそろえて、税理士に相談されました。計算の方法を確認したうえで、期限内に申告と納付を済ませられたそうです。Kさまは「別々に考えるものだと思い込んでいました。期限の前に確認できてよかったです。父にも義母にも、申告が済んだことを伝えました」とおっしゃっていました。

― 私たちから一言 ―

贈与は「渡して終わり」ではなく、申告まで見届けて完了です

ご家族への贈与は、「元気なうちに、役に立つ形で渡したい」というお気持ちから行われるものです。そのお気持ちが、あとで受け取った方の負担や、ご家族の行き違いにつながってしまうのは、とても残念なことです。

贈与税のしくみそのものは、合計して、110万円を引いて、速算表に当てはめるという3段階です。むずかしいのは、計算よりも手前のところ――だれからもらったのか、いつの贈与なのか、そもそも贈与として成立しているのか――であることが多いように感じます。ここを整えておくと、将来の相続のときにも、説明に困ることが少なくなります。

私たちは、ご事情を伺いながら論点を整理し、必要に応じて税理士・司法書士などの専門家におつなぎしております。どうぞお気軽にご相談ください。

一般社団法人相続なんでも相談センター 代表理事 宮野 宏樹

この記事のまとめ

  • 贈与税は、個人から財産をもらった人が納めます(相続税法1条の4)。1年間にもらった合計額から基礎控除110万円を差し引いて計算します(租税特別措置法70条の2の4)。
  • 税率は、直系尊属から18歳以上の人への贈与に使う特例税率と、それ以外の一般税率の2種類です(相続税法21条の7、租税特別措置法70条の2の5)。両方ある年は、按分して計算します。
  • 扶養義務者からの生活費・教育費は、必要な都度、直接充てるものに限って、贈与税がかかりません(相続税法21条の3)。
  • 贈与の時期は、書面による贈与は契約の効力発生の時、書面によらない贈与は履行の時です。時期が明確でない不動産などは、登記・登録の時とされます(相続税法基本通達1の3・1の4共-8、同共-11)。
  • 申告と納付は、翌年2月1日から3月15日までです(相続税法28条・33条)。特例には、税額がゼロでも申告が必要なものがあります。延納は5年以内です(同法38条3項)。
  • 贈与した人も連帯納付の責任を負います(相続税法34条4項)。課税できる期間は原則6年、偽りその他不正の行為があれば7年です(同法37条)。最新の情報は国税庁でご確認ください。

参考文献(一次情報)

※本記事は一般的な解説を目的としたものであり、個別の事情により取り扱いが異なる場合がございます。本記事は税務上・法律上の助言を提供するものではなく、個々の贈与について贈与税がかかるかどうか、税額、特例の適用の可否、申告の要否などを保証するものではありません。記事中の計算例は、国税庁の公表する速算表と計算例にもとづいて、しくみを説明するために単純化したものです。実際の税額は、贈与を受けた財産の種類と評価額、同じ年のほかの贈与、適用する特例などによって異なります。税率、控除額、特例の要件や適用期限は改正されることがありますので、最新の情報は国税庁でご確認のうえ、具体的な申告については税務署または税理士にご相談ください。

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